少年とイミテイターと
- wisteria8770
- 2024年2月2日
- 読了時間: 9分

コリンさんと。RP感謝ァ!
[2049] : ……(遠くに見えた人らしきものの姿。街の外へ向かおうとしていた脚が一度止まる)
コリン : あ(足音が聞こえたものだから、立ち止まって振り返った。)
コリン : 人だ。
[2049] : (首を横に振った)(少し近付けば、胸元にある端末を指さして)
コリン : ん……?(指し示されればそれを覗き)
[2049] : ≪人ではない。こんにちは≫ (と、指さす先に文字が現れるだろう)
[2049] : ≪音声回路に不具合がある。会話はこれで≫
コリン : なんだこれ……、文字が表示されんの?へぇ~~……
コリン : めっちゃかっこいい……
[2049] : ……!(かっこいい、という言葉に一瞬反応したように見えるが、すぐに目を逸らし)
コリン : ??何で目逸らすんだ?……いや、そっちよりも、人じゃないってことはえーっと……
コリン : なんて言うんだっけ。ここじゃ固有の呼び名あるんだよな。
[2049] : (ちら…… 視線を戻し)
[2049] : ≪イミテイター。ゴーレムの一種だと思ってほしい。≫
コリン : そう、それだ!イミテイター!
[2049] : ≪……知らないということは、あなたはこの街の住民ではない?≫
コリン : かっこいい呼び名だよな~~。(にこにこである。)
[2049] : (また少しそわついた気がする
コリン : うん、そう。親父にこの、えっと……。 バベルってところにいる"キャデリア"って人に会いに行けって言われたんだけど
コリン : なんかもう放棄されたっぽいじゃんね。
[2049] : ≪……その認識で間違いない。こんな棄てられた場所に人捜しとは。≫
コリン : ま、いないもんはしょーがないし。おれもう13歳だから、全然一人で生きていけるし、持たされたお金だってあるし……。
コリン : だから全然大丈夫。
[2049] : (少し考え込むように俯き)
[2049] : ≪人探し、であれば。私はここの見回りを任されているから≫(と、文字の表示が一度止まり)
[2049] : ≪もし、力が必要であれば。それ以外でも、使えそうなら使うといい。イミテイターは人のためにある。≫
コリン : まじ?……でも、"キャデリア"って人を探すのはいいや。ここに来るまでに結構腕だって鍛えられたし、全然一人でも生きていける。その"キャデリア"って人にお世話になんなくたってさ。
コリン : だから代わりにおれがまい……いや、おれが道分からなくなったらさ、
コリン : その時は道教えてよ。見回りってことはこの街全部歩き回ってるってこと、だよな?
[2049] : ……(ん、と小さく喉奥で音がして)
コリン : おれ、まだここに来たばっかりだから。流石のおれでも、いきなり全部分かるわけじゃねーもん。
[2049] : ≪承知した。人間様通りのほうは規則であまり歩けないが、立ち入れる範囲であればいつでも。≫
コリン : 人間様通り……??通りの名前つけた奴、センスなかったんだ……。イミテイターにはこんなにかっこいい名前つけてんのに……。
[2049] : ≪それについては、回答しない。 わたし個人の感想は言いかねる。≫
[2049] : (め~っちゃ目を逸らした)
コリン : おれが呼ぶ時は様つけんのやめよ。ダサいし……。
コリン : ま、それは良いや!
コリン : ありがとな、イミテイター!道に困ったら呼ぶ!
[2049] : ≪わたしに礼は不要だ。イミテイターだから。それから、≫
[2049] : ≪この辺にはイミテイターが多い。全部それで呼んでも構わないが恐らく全員一斉に振り向くぞ。≫
コリン : うわっ、それはきもい……。
[2049] : ≪そう、だからわたしを個別に指定するのであれば、≫
[2049] : ≪2049。 RB2049-MAがわたしの型番だ。≫
[2049] : ≪ニイマルヨンキュウでもニセンヨンジュウキュウでも好きに呼ぶといい。≫
コリン : あーる、びー……にーぜろよんきゅー……
コリン : うん、にーぜろよんきゅー。2049な!
[2049] : (こくり。ひとつ頷いた)
コリン : "人間様"って呼ばれるのはまじで勘弁だから、おれも名乗っとくよ。
コリン : おれはコリン。コリン・トゥイーラ。よろしくな、2049!
[2049] : ≪承知した、コリン。……様は付けないようにする。≫
[2049] : ≪短い間になるだろうが、好きに使ってくれ。≫
[2049] : (相変わらず表情は変わらないが、少しばかり姿勢を崩して)
コリン : うん、そうして。様とか慣れねーし。
コリン : 使う……、(その言葉にほんの僅か、首を傾げる。「ほんとに道具なんだな」、という認識が身につくのはまだ少し先だ)
コリン : 確かによく見たら、人っぽくないもんな。そういうもんなんだろうな。
[2049] : (おもむろに手を見せる。人形のような、人とは違うそれが見えるだろう)
[2049] : ≪そういうものだ。だから難しい事は気にしなくていい≫
コリン : (じっと手を観察する。人の関節に当たる部分には不自然に隙間が空いていた。)
コリン : ん、分かった。難しいこと考えるの好きじゃねーし、その内慣れとくよ。
コリン : あ、別に苦手なわけじゃないから。好きじゃないだけだから。(早口で言い訳をたてておく。子どもらしい癖だ。)
[2049] : ? (わずかに小首を傾げ)
[2049] : ≪得手不得手はあるだろう。気にする事ではないように思う。≫
[2049] : (などと、子供の感情の機微がわかってなさそうな文字)
コリン : べ、別に気にしてない!ただ、苦手だって勘違いされんのがヤなだけ!
[2049] : ??(傾げていた首がもう一段階傾き)
[2049] : ≪ではそのように記録しておく。……おくが、問題はないだろうか?≫
コリン : おれだって、全然、頑張れば勉強で高い点取れるし……。(本人はあなたに言い訳しているつもりなのだろうが、客観的に見れば、この場にいない者への言葉にも聞こえるような言葉を追加し、)
コリン : 全っ然問題ない!そう記録しといて!
[2049] : (ほよ… 一瞬不思議そうな、感情のにじんだ表情を見せて)
[2049] : (すぐまた戻り)≪……承知した。ではそのように。≫
コリン : ん……。(少し何か言いたげにしたが、これ以上は墓穴を掘るだけだと言うことぐらいは分かるらしい。)
[2049] : (やはりこのイミテイターには少年の心情の移り変わりは分かっていないようだが。)
[2049] : ≪あなたは、表情がよく変わる。とても人間らしい。≫
[2049] : (文字が一度止まり)
[2049] : ≪私的な感想を述べる事は好ましくないが、いい事だと思う。≫
[2049] : (やはりちぐはぐな内容の文字が、浮かぶのだった)
コリン : いいよ、別に。イミテイターならお世辞とかじゃないんだろ?褒められるのは嫌いじゃないしね。
コリン : ……褒めてる、んだよな。(確認のように聞いて)
[2049] : (こくこく。頷いた。そして、)≪……本当の事を言っても?≫
[2049] : (と、ふいに周囲を気にするように見回す。……誰もいない)
コリン : なんだよ、お世辞だったってワケ?(少しむっとした。イミテイターには人間に近しい心が備わっていることをまだ理解していないらしい。)
コリン : じゃあ本当のこと言って。おれ、そういうお世辞とか嫌いだから。
[2049] : (少し慌てたように首を横に振った)(胸元から端末を外すと、改めてそれをあなたに見せる。)
[2049] : ≪羨ましいと思ってる。≫
[2049] : (端的に、そうとだけ書かれていた。)
コリン : (あなたの首に掛けられている端末の文字を見て、へぇ~、一言零す。)イミテイターにもそういうの、あるんだ。
[2049] : (すぐに文字が消える。定位置に戻せば、先程見せた感情らしいものも見当たらなくなるだろう。)
コリン : ふふん、全然良いよ。羨ましがってくれて。反抗しないんならそう……思うっていうのも変か? そういう、考えがあっても!
コリン : (不遜に笑って、消えた文字への言葉を返す。あなたの言葉はちっとも悪い気はしなかったし、むしろ彼の自尊心をくすぐったようだった。)
[2049] : ≪不快でないのであればよかった。ただ、先程も伝えた通り私的な考えを述べるのは好ましくない。他の……特にイミテイターにはこの事は秘密にしておいてほしい。≫
[2049] : ≪イミテイターが人間に頼み事というのも、好ましくはないのだが。≫
コリン : はいはい、それも含めて内緒ってことだろ。言わないって約束する。
コリン : おれが困った時に、2049が壊されたり、解体されちゃったりしてたらおれだって困るしな。
[2049] : ≪……感謝する。わたしも、極力破損は避けるよう努める。あなたとこの街のためにも。≫
[2049] : ≪とはいえ業務の内容が内容だから、保証はできないのだが。あなたがここに滞在する間くらいは。≫
コリン : まあ大体、一か月くらいはいるよ。2049みたいなのがいっぱいいるんなら、面白そうなところだし!
[2049] : ≪ああ。あまり長居するような場所でもないからそれくらいがいいだろう。 ……恐らく他の個体はわたしよりも『面白い』。楽むといい。≫
コリン : うん!そうするつもり! でも、2049も大分面白い……っていうか、おれは好きだけどな。
コリン : 人間の大人みたいに上からあーだこーだ言ってこないし、本当のことだってちゃんと教えてくれるだろ。
コリン : 人よりずっといいよ。
[2049] : ≪ | ≫(入力中を示すバーが明滅する。それの持ち主もまた少し戸惑ったように固まって。)
[2049] : ≪そうか。そういう事であれは、わたしはあなたの考えを尊重したいと思う。≫(やがて、ゆっくりと文字が現れた)
コリン : ? ……あ、人が羨ましいんだっけ。えっと……。(ばつが悪そうにモニターから目を逸らして、何を言うか考える。)
[2049] : ≪褒められるということが、珍しいものだったから。反応に遅れが生じた。謝罪する。≫
コリン : いや、うん。えっと、2049になりたいのがあるって言うんなら、それも良いけどさ。おれは今の2049もすきって言いたかったわけで……、うん。(言い訳めいたものを並べたが、あなたの文字に頷く。やはりばつが悪そうだった。)
コリン : 別に、2049が気にしてないんなら良いんだ。 ……良かった。
[2049] : ≪あなたが気病む事ではないし、それがイミテイターの言動であればなおさらだ。大丈夫。≫
コリン : ん……、"そういうもの"だもんな。
[2049] : ≪その通りだ。それに≫
[2049] : ≪私は”グレー”の2049。何でもないし、何になるわけでもない。あなたがこのわたしを好きだというのであれば、そういうわたしでいる。それだけだ。≫
[2049] : (迂遠な言い回しの文字が浮かぶ。その内容について詳しく話す気はないのだろう。今日何度目か、視線を逸らした。)
コリン : うん、うん……。そっか!じゃあ気にしないことにする!(先ほどの罪悪感はどこへやら。自分の要望が通ったことがそんなに嬉しいのか、表情を明るくした。)
[2049] : ≪それがいいだろう。あなたのためにも。≫
[2049] : ≪時間を取らせてしまった。差支えがなければ、わたしは業務に向かおうと思うのだが。≫
コリン : いいよ、おれも色々教えてもらえて助かったし、イミテイターへの接し方っていうのもちょっと分かってきたからさ。
コリン : じゃあ2049は、おれの好きな2049のままいてくれよな!表情が変わったりしても全然良いけど、上からもの言ったりする人間の大人みたいにはなるなよ!(子供らしい、随分我儘で自分勝手な言葉。それを無邪気に投げかけて。)
[2049] : ≪承知した。可能な限りそのようにする。≫(このイミテイターもまた、反抗も、それ以外の感情も見せずにその言葉を受け入れるだろう。)
コリン : うん。(満足そうにそう返し) じゃあおれも、ちょっと色々見て回るよ。
[2049] : ≪ああ。瓦礫が多いから転ばないよう気を付けて。≫
[2049] : ≪それでは。≫
コリン : 子どもじゃないんだから、足元ぐらいちゃんと見てるよ。大丈夫。
コリン : じゃあまたな、2049!
[2049] : (文字の代わりに、無表情のまま手を振った。)
コリン : (元気よく手を振って、あなたが来たであろう方向へ歩いていく。)(途中、瓦礫に躓きそうになったところを、危なげに跳び越えた。)
[2049] : ン、(小さく声を上げた。だから言ったのに──と、伝える相手はもういない)
[2049] : ……。