ハイブリッドレインボウ
- wisteria8770
- 2024年3月4日
- 読了時間: 31分

ハーヴィ : (にゅ、とドアの隙間から顔を出し) ン、
コリン : ゼーター……、 いない。 あ、(ドアが開いた音に振り向けば、友人の姿。ぱっと顔を明るくさせた。)
コリン : ハーヴィ!
ハーヴィ : (あなたと目が合えばぱっと表情を明るくさせて)≪コリンも来てたんだ!≫
ハーヴィ : (弾む足取りであなたの下へ) ≪や。遊びに来たの?≫
コリン : うん、暇だったからゼータいるかな~って思ったんだけど……。
ハーヴィ : ≪そういやお屋敷の人たちと最近あんまり会ってないや。みんな元気かなあ。≫
コリン : だな~。特に今日は静かな気がする。
ハーヴィ : ン~…… ≪ざんねん……。みんなきっと今は忙しいんだろうしね。≫ (なにが、とは言わないが。忙しい理由といえばそう多くはないはずで。)
コリン : ん……、そうだな。
コリン : ハーヴィはどう?最近、忙しい?
コリン : オレはこのバベルを覚えておきたいから、うろうろしてるぐらい。
ハーヴィ : ≪うーん、忙しいような、そうでないような……。出発の準備も、オレは持ち物少ないし。≫ ≪けど出た後の事を考えると色々しないといけないような気がして、わたわた…≫
ハーヴィ : ≪コリンがこの街の事、覚えようとしてくれてるの、きっとみんな喜ぶね。≫
コリン : ふわふわもちゃんとふわふわにしてもらったし、腕の装備ももっとかっこよくなったもんな! 他の部品とかも、機工の街ってところ見にいけばなんとかなりそうだし……。
コリン : へへ、だと良いな!おれの想い出までは大人だって奪えないし、目に焼きつけて大事にしておきたい!
ハーヴィ : ≪うん、それにセルフメンテの方法もアンジェロに教えてもらったから、人に頼らなくても結構お元気イミテイターでいられるようになったと思うよ。≫
マリヤ : (部屋の扉を開けて子どもが出てくる。)
マリヤ : あっ
ハーヴィ : (少年の言葉に笑顔を浮かべ。……と、扉が開く音に気が付く)
コリン : アンジェロが?あいつ良い奴だもんな……ん?(扉の開く音。それから小さな足音。振り向いて)
マリヤ : ハーヴィ!コリン!(手をぶんぶんと振り)
マリヤ : (たったと降りてくる)
コリン : よっ、マリヤ。
ハーヴィ : ン!(手を振る。ぶんぶん)
コリン : 今起きたのかー?起きてたんなら夜更かしだな。
マリヤ : んへへ おはよおはよ(今起きたらしい。多分ちょっとお部屋で寝落ちてたのかも)
ハーヴィ : ≪おはよ。見回り終わったついでに遊びにきちゃった。≫ (にぱ…と少女に笑顔を見せ)
マリヤ : あそび!(わーいの顔 うれしい)ふたりとも あそび に きた?
コリン : おはよ。おれはゼータいるか見に来たんだけど……。折角ハーヴィもマリヤもいるんだから、あそぼうぜ!
マリヤ : ゼータ…(ちょっと考えて)うーん おるす かも? んへへ あそぼあそぼ
ハーヴィ : ン!≪あそぼ!ふわふわも遊びたがってると思う!≫
マリヤ : ふわふわ~!
コリン : ん! なにしてあそぶ?一緒に街を見て回っても良いし、マリヤの部屋でお喋りしても良いぜ。
ふわふわ : (ふわんと現れる ふわふわ)
コリン : (ふわふわだ!かわいいね)
マリヤ : (キャッキャッ)ん~ きょうは まちの みまわり しちゃう?
ハーヴィ : ≪見回り? いつもオレがやってるやつ?≫
マリヤ : それも みんなで やれば たのし かも みたいな(要するに全然お散歩なんだけども。)
マリヤ : (それにジレイが今はいないから、とは言わなかった。)
コリン : いつもハーヴィが見回りの時、どういうとこ見てるのか、ちょっと気になるしな~。
ハーヴィ : (む~、と考え込み)
マリヤ : きになるきになる
マリヤ : (ワチャ…の子ども)
コリン : 今日は別に霧でもねーし、雨が降ってるわけないからさ!良いだろ、ハーヴィ!
ハーヴィ : (わちゃわちゃを受け止め)ン~
マリヤ : あ
コリン : ん、アンジェロ!
マリヤ : アンジェロ!(手を振り)
ハーヴィ : ン!(手を振った)
マリヤ : おそうじかな(見送り~)
ハーヴィ : ≪はたらきものイミテイターだね≫
マリヤ : えらい
コリン : アンジェロ、ここの掃除もやってんのか……。大変だな。
マリヤ : いろいろ やって くれてる よねー…
ハーヴィ : ン…(深いうなずき)
ハーヴィ : (……と、思考は一周して見回りの話に戻り)
ハーヴィ : (そうそう、今ふたりの友達に見回り──もといお散歩をせがまれている。ともすれば、お元気イミテイターには断るべくもなく。)
マリヤ : (感謝の念を送りつつ…)(せがむおげんきこども)
ハーヴィ : ≪……見回り、行っちゃうか!≫
マリヤ : !!!!!!!!
マリヤ : うん!!!!!!!(元気)
コリン : やったな、マリヤ!
マリヤ : やったねー!
マリヤ : (ぴょんぴょん)
コリン : ハーヴィもサンキュ!(ぴょんぴょん……はしなかったがにこにこだ)
マリヤ : んぬへへ ありがとありがと
ハーヴィ : ン!(にぱ!! みんなでお散歩うれしいね)
コリン : よし!じゃあバベル見回り隊、出発するか!
マリヤ : しゅっぱつ しんこー!
ハーヴィ : ン~!!
ハーヴィ : ≪どこ行く? どこ行く?≫
コリン : 右(↑)か、左(↓)か、マリヤはどっちいきたい?
マリヤ : どこいこ どこいこ(跳ねてる)
マリヤ : うーん じゃあひだり!
コリン : ん!(元気よく踏み出す。今日は天気は曇り。見回り隊の邪魔をするものは何もない。)
ハーヴィ : ン!(言われれば、スキップをするくらいの元気さで)
ハーヴィ : ≪見回りの時はね、こういう瓦礫の隙間に危ないものがないかとか、荒野のイミテイターが紛れ込んでたりしないかとか、見ます。≫
ハーヴィ : ≪特にこういう細い道とかは要注意で~≫ (と、路地を覗き込み)
コリン : 意外とちっちゃいのもいるもんな~。
マリヤ : (そうして一つ、細い路地に目もくれず子どもは通り抜けようとしたところで)すきま?(止まった)
マリヤ : たしかに…
コリン : そういえばそこも空き家なんだっけ? 今誰か使ってるって感じじゃなかったけど……。
ハーヴィ : ≪うん、ほら。こういうところ。≫ ≪リーンみたいな大きい街でもそうだけど、こういうところは色々……ある。≫
マリヤ : (そうして細い道をちょっと見つめて)…… ? あ えーと
ハーヴィ : ≪ああ、ここの空き家ね。たまに変な人棲み付いてないか確認してるけど、今はだれもいないはず。≫
コリン : 確かにアルマさんにも言われたなー。路地裏は危ないからいかないようにするのよ、って。
マリヤ : なんだっけ たしか あたしの おうち らしいよ そこ(実に他人事のように子どもは言った。)
ハーヴィ : ≪……そうなの? 初めて知った≫
コリン : えっ、マリヤのだったのか……。
コリン : じゃあ、見ていくか?折角だもんな。忘れ物だってあるかもしれねーし!(それによって辛い気持ちになるだとか、こどもは考えもしない。)
マリヤ : うん あたしの… おせわ してくれてた こがいて(今はもう動かないイミテイターのこと。)おしえて もらった んだけど
ハーヴィ : (いつか読んだ本で学んだこと/人間は生まれから数年のことを覚えてはいないらしい。)
ハーヴィ : ≪そうなんだ……。 どうする? ここも『見回り』してく?≫
マリヤ : うーん …… いま もう ママ いないし わすれもの あるかも かも だしね(頷いて)
コリン : うん、そうしようぜ。 忘れ物は取りに行ける内に取りに行った方が良いからな。
マリヤ : なんか あるかも(懐かしいものを取りにいく、というよりは。まるで探索をするような素振りで)
ハーヴィ : ン。≪決まりだね。それじゃ行ってみよ。≫
マリヤ : ごーごー!
……入り組んだ住宅たちの隙間をよく見ると、
べつの通りに続いている。この先は住宅街のようだ。
マリヤ : わっ ほこり!
コリン : 結構使われてないみたいだもんなー。
ハーヴィ : ≪あんまり人が入らないとこうなっちゃうよね≫
コリン : マリヤ、ハンカチとか持ってるか?持ってたら口に当てておくと、けほけほにならないぞ。
マリヤ : (舞い散る埃。誰も住まなくなった家はこういうものだ)
マリヤ : ぬ!!(ポシェットからハンカチ)
ハーヴィ : (床に付いたいくつかの足跡は、見回りで顔を出すというイミテイターのものも混じっているだろうか。)
コリン : 流石女の子だ。
マリヤ : んへへ(?)
コリン : (他人の家ででも気にせず、けれど乱暴にするわけでもなく、部屋の中を好き勝手歩く。)
コリン : げ、蜘蛛の巣……。(ぱっぱっと払った)
コリン : (引き出し開け開け)
マリヤ : (ハンカチで口を抑えながら)(かつての生活の跡。並べられたものはそのまま)
マリヤ : (引き出しには埃臭い服)
ハーヴィ : (普段は極力物に触れずにいるが。人形の指がテーブルの縁をなぞり)
マリヤ : (テーブルには、2つだけコップが並んでいる。どちらも大人用のものだ)
コリン : げほ、っ(自分はハンカチを持っていないらしい。袖を口に当てるも、もう遅い。)(埃のにおいを諸にあびて、思わず咳き込む。)
マリヤ : あっ
マリヤ : コリン だいじょうぶ?
コリン : い、いきなり開けんじゃなかった……。
ハーヴィ : ン、ン (心配そうに近寄って)
コリン : こんくらいへーきだって。マリヤもハーヴィも気をつけろよ~。
ハーヴィ : ン!
マリヤ : ぬ~ そうじの たいせつさが よく わかる
コリン : だな。アンジェロとかテラに感謝しねーと……。
ハーヴィ : ≪街中のお掃除イミテイターに感謝…≫
コリン : ああ、お掃除イミテイターたちにも。
マリヤ : (感謝の念)
本を借りられそうだ。
何を借りよう?
コリン : こっちは本棚っぽいな。マリヤ、好きな本とか覚えてる?
マリヤ : (軋む床板を踏んで)ん?んー
マリヤ : えほん(つまり覚えてない)
ハーヴィ : ≪ほら、かわいいのいっぱいある。≫ (埃っぽいそれらの一冊を取り出し)
マリヤは[読書中(絵本)]になった
マリヤ : (どれどれと見て)あっ ほんとだ
コリン : 絵本かあ、(埃を先に掃って、いくつか見繕う。 妖精の幻話、うさぎの童話、イミテイターの御伽噺。)
マリヤ : (赤色の中で色の違う魚が一匹。そんな絵本もある)
ハーヴィ : ≪絵本ってかわいくて好き。≫ (そんな感想を。ようやく世界に対する学習を始めたばかりのイミテイター。)
マリヤ : んふふ おもしろい よね
コリン : ハーヴィはふわふわとか、かわいいもの好きだよな。
コリン : おれは図鑑の方が好き。ここにはないけど、かっこいい生き物とか載ってるやつ!
ハーヴィ : ≪うん! ぬいぐるみ……はふわふわが一番だけど好きだし、猫とか犬も好き!かわいいの好き!≫
マリヤ : (可愛い動物たちの絵…) ずかん も いいねっ
ハーヴィ : ≪でもかっこいいのも好き! テラとかジレイとか≫
マリヤ : わかる ぜんぶ すき
ハーヴィ : (に~ぱ)
コリン : だよな!シャノアもかっこいいし、あいつらの戦ってる所すげえかっこよくて好きだ!
ハーヴィ : (こくこくこく!)≪みんなかっこいいよね!≫
コリン : ん!(ちからいっぱい頷く。)
マリヤ : うん!
ハーヴィ : (ほんわほんわ かっこいい戦闘用イミテイターたちに思いを馳せ…ながら持っていた絵本を棚に戻した…)
マリヤは[読書中(絵本)]でなくなった
マリヤ : これは もっていって いいかも リスト
コリン : だな。新しくリーンで見つけなおすのも大変だし。
コリン : 気に入ったやつだけでも持って行っちゃおうぜ~。
マリヤ : ね~(それから側のドアに目が行って)
ハーヴィ : ン! ≪もってき袋ならあるから使ってね!≫ (もってき袋 こと荷物入れがある。)
コリン : もってき袋
マリヤ : わーい! ありがと ありがと じゅんび ばんたん~
コリン : 荷物入れか……。
マリヤ : (何冊か皆で興味を示した本を入れた)
ハーヴィ : (よくふわふわも入れられているもってき袋だ。)(埃が被らないように絵本とは別のポケットでふわふわしている)
コリン : (イミテイターの御伽噺を荷物入れにつめつめ。ふわふわさん、ありがとう。)
マリヤ : (安全のふわふわ)
ふわふわ : (まあまあ ゆっくりしていってください と言いたげな堂々としたたたずまい)
マリヤ : (絵本の動物たちがすいませんねえ おじゃまします としたかも)
マリヤ : こっち… ぬっ(扉を開けようとするが硬い。)
ハーヴィ : ン? ≪開けよっか?≫
コリン : こっちは何の部屋だろ?
マリヤ : おねがいーっ
ハーヴィ : ン。(人形の指がドアノブにかかり。言われた通り少し硬いが、力を入れて回し。)
ハーヴィ : (肩を扉に押し当てて、体重をかければ軋んだ音を立てて扉が開く。)
マリヤ : (しばらく開けられていない扉。建付けが悪くなっていたのか)(とはいえイミテイターの力があれば呆気なく)
コリン : おー、流石ハーヴィ。
マリヤ : さすが!(そうして先に広がったのは。いかにも子どもの部屋と呼べるそれだ)
ハーヴィ : (にぱ~ まんぞくげ)
コリン : ん……、マリヤが昔使ってた部屋、なのかな。
ハーヴィ : ン……
マリヤ : おー…?(本人の記憶は朧げなのか首を傾げるが。)(褪せた色彩の中で、小さな子どもに向けたぬいぐるみやおもちゃがそこに並んでいた)
ハーヴィ : ≪くまちゃんいる≫
マリヤ : ほんとだ
コリン : でっけえ
マリヤ : (ほこりまみれ)
コリン : こいつをふわふわにするのはかなり大変そうだぞ……。
ハーヴィ : (埃をかぶったでかでか亜種)
マリヤ : おなまえ けほけほ になっちゃう
ハーヴィ : ≪オレ、テラにふわふわにするやり方教えてもらったからできるよ!≫ (出来るとは言っても、厳密にはやり方をメモしただけなのだが。)
マリヤ : ほんと?
ハーヴィ : ≪うん、大きいから大変だけどやり方は一緒だと思う。≫
コリン : ほんとか!ハーヴィ、やるな……!
ふわふわ : (ふわふわになあれ もってき袋からの圧)
マリヤ : すごい ふわふわも ふわふわにしましょう って いってるかも(?)
コリン : その時は手伝う!こいつをふわふわにしたら、気持ち良いだろうな~……!
マリヤ : バベルの くまちゃん ふわふわと でかでかと
コリン : ふわふわどころか、ふかふかになるぜ!
マリヤ : ふかふか(推定) ひとりぽっち にしたら さみしーもんね
ふわふわ : (すべてのぬいぐるみにふわふわのあらんことを と思ってるかも。思ってないかも。)
ハーヴィ : ≪じゃあ、ふかふかとでかでかとふわふわの三兄弟になる……!?≫
マリヤ : なろっっっ(爆速決定)
コリン : いいな、三兄弟!寂しくないし!
ハーヴィ : ≪ヨシ!≫(もってき袋には入らないので抱えることになるだろう。多めの埃が舞う。)
マリヤ : わーっ(埃フィーバー)
ハーヴィ : ≪ウワー!!≫(埃)
コリン : うおお!
ハーヴィ : ≪推定ふかふか、一緒にいこうね≫(やや白っぽくなりながらも確保した。やったね。)
マリヤ : (舞い散る埃のせいで真っ白になった視界)(の中で、ふと瞳の光がちかと瞬いた)……?
マリヤ : (やったね)
コリン : がんばってふかふかにしてやるからな……!(先に袖で口元を抑えておいたので被害は最小限で済んだ。良かった。)
マリヤ : (救出されたふかふかが感謝の念を発してるかもしれない…そうかな?の中)
ハーヴィ : ……?(少女の行く先に視線が動き)
マリヤ : (軋む音と共に子どもが埃の中動いて、箱を探る)
マリヤ : なんか いま ちかちか し…(ゴソ…)
コリン : ちかちか……?
マリヤ : あ(探る中で一枚違う手触りを見つけ)ぬ!!!!!!!!!(勢いよく引っ張り出した)
コリン : まだ動いてる玩具とかあんのかな……うお
マリヤ : (埃が舞った)
ハーヴィ : ???
ハーヴィ : (推定ふかふかを抱えたまま覗き込み)
マリヤ : (子どもの手には)(手紙があった)
コリン : なになに?(覗き込み)
コリン : 玩具……じゃねーのか。
ハーヴィ : ≪それ……手紙?≫
マリヤ : (いくつもの、五歳児よりももっと幼い子に向けたおもちゃの中の、一通の白い手紙)おてがみ? みたい
コリン : おもちゃ箱に、ってことは……、やっぱマリヤに宛てたのかな。
マリヤ : (――宛名は、『Mariya』)
コリン : お、当たってた。
マリヤ : おー……?(筆跡に見覚えがないのか、瞬きを)
ハーヴィ : ≪紙って劣化するけど…… ああ、よかった。日に当たってないから大丈夫そうだね。≫ (覗き込んだ先、しっかりとした質感を保ったそれを見て)
マリヤ : だれから だろ
ハーヴィ : ≪読んでみたら? マリヤ宛だもん≫
マリヤ : ん(とはいえ……)
マリヤ : (ここは埃だらけだ)
コリン : ここじゃ暗いし、お屋敷戻ってからにしよーぜ。
マリヤ : そうしよ けほけほ だし ふかふかも いるし…
ハーヴィ : ≪それもそっか。≫
コリン : ん、とりあえずここの探索が終わってから!(探索がしたいだけでは?そうとも言う。)
マリヤ : たんさくーっ(子ども)
ハーヴィ : ン!
床板がきしむ。
マリヤ : (隣の部屋は多分寝室。色々と引っ張り出された跡があるが…)
マリヤ : ぬー あんまり もの なさそう
コリン : ないかあ。
ハーヴィ : (ふかふかを抱えているので物色できない。ン~です)
コリン : これは、照明……(かちかちとスイッチらしきものを押すが、特についたりはしなかった。)
マリヤ : つかない……
コリン : ん-ー……(埃をかぶりながら色々探索したが)
コリン : ないな。
マリヤ : ないね
ハーヴィ : ≪人の入ってない家はこういうのも動かなくなっちゃうよね…。仕方がないけど。≫(抱えたまんまのふかふかの首に端末を提げて)
ハーヴィ : ≪ないなあ≫
マリヤ : (床板が外れてるとこに落ちないよう慎重に歩き)
蜘蛛の巣を掻く。
マリヤ : えほん と ふかふか と おてがみ(戦利品)
コリン : やっぱずっと使うのが大事か……。
ハーヴィ : (蜘蛛の巣……の家主を指の先で逃がし)
ハーヴィ : ≪放置されると劣化するのはなんでも一緒だ。イミテイターもね。≫
マリヤ : そっかあ……
コリン : ん。大事に使っていきたい、な。(自分の武器を思い浮かべ、出口へと歩を進める。)
マリヤ : (頷いて)
ハーヴィ : ン!
マリヤ : (そんなこんなで家探し終了)
マリヤ : とりあえず だんわしつに ふかふか…
コリン : アンジェロ、掃除中にお邪魔するぜ~。
マリヤ : (アンジェローっと 舞い散らない程度の応急処置のホコリ取りをしてもらう)
コリン : あ、やべ。埃……、悪い。
ハーヴィ : (もすん、と置かれるふかふか。埃除去済み。)
コリン : (自分の服や髪につきっぱなしの埃を指摘され、目を逸らして謝った。)
マリヤ : みんな もしかして ほこりだらけ かも(ごめんねしつつ)
ハーヴィ : (ふかふかの首にかけていた端末も取り外し)
マリヤ : ハーヴィも はこんでくれて ありがとっ
ハーヴィ : ≪お屋敷入る前に落とせばよかったや。≫
コリン : ありがと。一番大変だったろ。
ハーヴィ : ≪ううん、オレも友達増えたら嬉しいから。≫ (埃が舞わない程度にふかふかを撫でた)
マリヤ : いがいと いしきするのは むずかしい(こないだ外の砂がついたまま駆け回ったのを思い出し)
コリン : ついうっかりしちまうんだよな。 その、わざと忘れてるわけじゃないんだぜ?
マリヤ : (モスモスと座る)そうだ アンジェロ アンジェロ(見つけたものの話を隣にしつつ)
マリヤ : わかる
ハーヴィ : ン。ン。(同意)
マリヤ : (多分ニコ……される ごめんなさい)
コリン : ハーヴィに友達が増えたなら良かった……、ん。アンジェロに読んでもらうのか。
マリヤ : んー(確認し)……
マリヤ : (数枚入ってる)ながい
マリヤ : (アンジェロにお任せした……)
マリヤ : ふたりも すわろすわろ…
ハーヴィ : ≪ながいかあ。≫(マリヤの向いに座り。)
コリン : (後ろから覗き込む形だったが、言われてハーヴィの横に座った)
ハーヴィ : (ぽふぽふと自分の隣を叩こうと……して、隣に座る少年を見てにっこり)
マリヤ : (アンジェロも席に着いてもらい)(手紙を確認して、そうして彼の声が書かれた言葉を紡ぎ始める)
コリン : (足をぶらぶらさせて聞いている。)
ハーヴィ : (ちょっと体の重心を少年の方へ寄せて。同じように脚を伸ばしてリラックスした姿勢)
マリヤ : 『――この手紙がどうか不要になることを願って書く。』
コリン : (友人が近くなればちょっと嬉しそうに。これから読まれる手紙はどういうものかはちっとも分かっていない。 分かっていないからこそ、わくわくしている。)(もしかして、宝の地図だったりして?そうじゃなくっても、マリヤに宛てた愛の手紙? 黙って、聞いた。)
マリヤ : 『そうでなければ、僕はまだ君たちの元へ帰ることが出来ていないんだろう。』
マリヤ : 『そして君が完全に、自分の中にある不思議な力に気づいたということでもあるのだろう。』
マリヤ : (子どもは瞬く。)
ハーヴィ : ……
コリン : ……(アンジェロを映していた視線がマリヤに移る。)
マリヤ : 『きっと今の君が必要としてるのは、僕の謝罪ではなく』『その力に対する説明だと思う。』
マリヤ : 『僕が持っていて、知っている全てを、ここに書き残していく。』
マリヤ : (手紙が二枚目に移る。)
マリヤ : (長かったのは、どうにも。一つ一つ、それについての説明が事細かに丁寧に記されていたからのようだ)
コリン : (マリヤの能力に関して、コリンは知っていることが少ない。ある日突然、明るくなって、不思議な力を使うようになった。そう言う認識だった。)
ハーヴィ : (僅かばかり、少年のほうにかかる重みが増すだろう。)
コリン : (だから気になるのは当然だった。少し前のめりになりそうになったのが、隣の友人の重みで止まる。)(椅子の下、手をそっと触れさせた。)
マリヤ : (アンジェロが様子を見て、「此処で全てを読み上げるよりは、あとで改めてマリヤ様自身がゆっくりとお読みになられますか」と子どもに聞く)……(頷く)
ハーヴィ : (触れた指の先は、ややあって重なり。ただ事の行く末を。)
マリヤ : (簡潔にまとめれば、その力は魔法でも奇跡でもない、何かであって)(それが超能力、PSIと呼ばれることを語る)
マリヤ : (けれども、実に分類の難しい力でもあって、下手に用いれるものでもないことを。綴られていた)
コリン : (首を傾げる。マリヤはうまく扱えるように見えたから。)
ハーヴィは、筆記具を使った。
ハーヴィ : (「マリヤにそういう力があるって噂は、前からあった。」コリンに見えるように、手書きの文字。)
マリヤ : ……、(此処の皆は、子どもの力を受け入れてくれている)(けれども手紙の主は、外から来た人だった)
コリン : (すこし驚いて、へぇ。と小さくもれる。それってすごいことじゃないのか?)(けれど手紙の主は、そうではないらしい。とりあえず、先を聞く姿勢。)
マリヤ : (アンジェロの声が数度止まるのは。手紙の主が書き記すべきか悩んで)(それでも書いた跡のせいでほんの少し読みづらくなっていたから)(外の皆全てが、受け入れてくれるわけではないことを、綴られている)
マリヤ : (『時に理解が難しいものを』『どうしても恐れてしまうことがある。』)(そんな言葉。)
ハーヴィ : (思考演算/浮かぶ言葉/感想/感情 ──内に留めて聞く続き。)
マリヤ : (子どもも)(分からなくて)(様々が怖くなったことをふと思い出していた)
コリン : (やはり、やはり。少年は分からなかった。)(イミテイターたちのことは理解が難しい存在だったけれど、今では大好きな友達だったから。)
マリヤ : (そうして簡潔にまとめても、少し量のあった文を読み終えて)(幾枚目。)
マリヤ : (『記した全てのうち少しでも、君が必要としていたものがあるのならば幸いだ。』)(……)(『いつか』『ハンナが君に真実を語ることがあるかもしれない』)
マリヤ : (『それでも、どんな理由があったとしても』『僕が幼い君を残して置いていった事実は変わらないし』)
マリヤ : (『決してそれは許されるべきではないとも思っている。』)
マリヤ : (『バベルに暮らす、優しい彼らの存在があるからこそ』『甘えてしまった部分がきっとあるだろうことも否定しない』)
ハーヴィ : ──……(机の下、重なった手をちいさく握った人形の指。物思いにふけるように俯いて)
コリン : ……!(握った手に力が籠る。"こんな子どもを"なんて、真っ当な倫理観から来るいらだちじゃなかった。)(自分も、そうだから。出て行かされた側とはいえ、自分を一人にしたことは同じ。)
コリン : (見たこともない、今初めて存在を知った、名前も知らない誰かに。コリンは怒りを覚えていた。)
マリヤ : (子どもは)(現に、イミテイターに”頼りなさい”と言った母親によって)(親がすべき教育の全てをイミテイターが代わって行われていた)
マリヤ : (母子と、イミテイター。支え合うことを想定されて置いていかれたものは)(結局のところ、優しい彼らに頼り切りになってしまった)
ハーヴィ : (『優しい』この街のイミテイター。それは、”そうあるべきものだから”。それが大半なのだろうが。少なくともこの手紙の送り主は。少年とはまた違う理由で、イミテイターは俯いたまま。)
マリヤ : ……(『ただ一言だけ』『どうか、許してほしい。』)
マリヤ : (『今この手紙を見つけた君にとって』『僕の言葉がもう必要がなければ、捨ててもらったっていい』)
マリヤ : (『僕は』)
マリヤ : (『愛する君がいつまでも日々を笑って生きていけること』)(『それだけを願い続けている。』)
マリヤ : (『僕から継がせてしまったその力に』『どうか苦しめられることの無いように』)(『君がもし、その力を何も苦にすることなく、生きていられるのなら』『本当にそれだけで、僕は』)
マリヤ : (一拍、止まって。)(『君が今日この日も健やかで、ありますよう』)(そんな取って付けた言葉で終わったような手紙。)
マリヤ : (手紙の主の名。 『父 ドロシュより』)
ハーヴィ : (やはり、送り主は。顔を上げて)
マリヤ : …………
コリン : そんなの……、そんなの勝手だ!!(怒りに声をあげた。少年には我慢だとかそういうものはなかったから。)
マリヤ : (瞬きをして、コリンを見る)
ハーヴィ : ……(こちらもまた、すこし目を見開いて。)
コリン : 置いていったくせに健やかでとか、そんなの、卑怯だろ!おれたちが子どもだからって……! 押し付けて、何にも言えないようにして、それで自分の話だけして……!
マリヤ : ……、コリン……
コリン : (イミテイターである友人の手を力いっぱい握る。そこに配慮はひとつもなくて、ただ心底からの怒りが伝わる。)
ハーヴィ : (人形は、ただ。掌から伝わる少年の怒りを受け止めるだろう。)
ハーヴィ : (人形にはわからない。ただ『どうでもよくなった』からうち棄てられたその人形にとっては、宛てられた言葉が、贈られた心がそこにあるだけでじゅうぶんに幸福だと思えたから。)
コリン : そんな奴らの言うことなんか、気にすることないよ、マリヤ! マリヤはマリヤの好きなように生きたら良い!いっぱい冒険して、自分で楽しいを見つけて、おまえたちが願ったから笑ってるんじゃないって、
ハーヴィ : (──けれど、立場が違えば変わる心がある事をわからないほど、この人形はもう無知ではない。)
コリン : マリヤが本当に楽しいから笑ってるんだって、イミテイターたちが考えてくれたから健やかでいられるんだって、
コリン : そう、言い返してやれるぐらい、好きに生きたら良い!
マリヤ : …………、
コリン : (自分の言葉の通りに好き勝手を言った少年は、冷静になるにはまだ遠い。声を張ったものだから、少し息を荒くして。 じっとマリヤを見つめた。)
マリヤ : (一度、二度。瞳の光を瞬かせながら)(子どもは)
ハーヴィ : ≪コリン、≫
ハーヴィ : ≪……痛い。≫
コリン : っ……!(少しばかり握り返された手に、ようやくあなたの方を見る。そこに表示されている文字)(照明の下でも、あなたの掲示板が文字を映せば、少しの光が動く。)(そこに表示されたあなたの言葉を見て、少年は、息を詰まらせて、)
ハーヴィ : (みじかく。怒りを受け入れることと己をないがしろにすることは、違うから。)
コリン : ……、…………。ごめん……。(何度か、何か、言いたげにしてから、謝った。)(握っていた手の力が緩む。)
ハーヴィ : (それもまた、友達の在り方のひとつだからこそ。)(締め付けられた指に込められた力が緩めば今度はこちらが軽く握り返し。) ≪いいよ、大丈夫。≫
コリン : マリヤも、アンジェロも、大声出して悪かった……。(握られた暖かなあなたの手に、少年はすっかり落ち着いた。 けれど怒りの全てが消えたわけではない。他に有無を言わさないような勢いが消えただけ。)(今度は落ち着いて、マリヤの言葉を待った。)
マリヤ : (しん、と一度部屋の中が静まった頃。ようやく子どもは口を開く)……あたし、 ……パパ の こと ぜんぜん しらなくて
マリヤ : ……、 ほんとに あかちゃんのころ は いたらしい けど…… おぼえてない……し ……テラから ちょっと きいたくらいで……
マリヤ : (今目の前にいる、コリンのように)(怒れるかと問われれば)(出来なかった。……完全に興味を持たず終わる。そんな風にならなかったのは、子どもが今、皆のおかげで確かに成長したから)
マリヤ : (だけどもやはり、遠い人で。強い感情を持つにはまだ知らないことが多すぎて)(ただ。……ただ)
マリヤ : ……あたし なんだろ なんか ね 「そうじゃ ないよ」 って いいたい……
コリン : (「うん」)(短く頷く。あなたの話を促すように。)
ハーヴィ : (人形には、すべてが遠い感情だ。だから頷いた。いつも通りの無言劇。)
マリヤ : …… パパは たぶん じぶんの もってるものを わるいもの にしか みてない きが して(手紙から読み解けた事。手紙の主は、自分の力に対して、否定的だった)
マリヤ : あたし も …… こわいって おもったことが なかったわけじゃ ないけど
マリヤ : でも そう コリンが いうみたいに いいかえしたい こと あるのかも
マリヤ : わるいこと ばっかり なんかじゃ ないよ って……
ハーヴィ : ≪わからないは、こわい。≫ (呟くように、ずっと暗かったままの端末が光を取り戻し。)
マリヤ : (その端末にふと目線が行く)
コリン : (同じように、今度は端末の光を映す)
ハーヴィ : (ふたりの視線に「あ、」と小さな声。どうやら無意識だったようで。すぐにその文字は消えて。) ≪ごめん、なんでもない。≫
コリン : そんなこと言うなよ。 ハーヴィも、何か思ったからそーやって表示されたんだろ?
コリン : 多分、それはおれやマリヤとは違う考えかもしれないけど……、
コリン : でも、おれはそれが悪いことだって思わないし、ハーヴィの言葉なら、聞きたいよ。
マリヤ : (頷いて)なにか あるなら…… ききたい って おもうよ
ハーヴィ : ……ン、(気まずそうな声は、つまるところの肯定で。この端末は、嘘と隠し事が上手くない。)
ハーヴィ : ……
ハーヴィ : (ややあって。)
ハーヴィ : ≪"違う"と"わからない"は、こわい。マリヤのおとうさんは、怖いからこんな風にしか書けなかったんじゃないか、って≫ ≪オレは 思った。≫
ハーヴィ : (宛てられた心は遠い感情だけれど。人形の知っている恐怖は。)
ハーヴィ : (綴られたそれと、どこか似ているように思えた。)
マリヤ : こわい から……(呟くように繰り返しながら。)
ハーヴィ : ≪マリヤと、おとうさんの力は。みんなとは"違う"。 だからこわい。マリヤが受けれ入れてもらえるかどうかが"わからない"から。≫
ハーヴィ : ≪手紙を読んでいるマリヤがどんな風にしてるか、幸せかどうか、"わからない"。 わからないはこわい。≫
コリン : (こわい、それから、わからない。)(目を向ける。読む。自分もわからない、で終わらせてしまわないように。)
ハーヴィ : ≪わからないとき、ちがうとき、オレは線を引いた。こわいが内側に入って来ないように。≫(デバイスからワイヤーが伸びて。戦闘時に使うものより幾分視認しやすいそれを指に絡めると、器用に動かし。やがて立方体のようなものが出来上がる。)
ハーヴィ : (──線の外側と、内側。)
マリヤ : (引かれた線。出来上がった、もの)
コリン : (おぉ、と声を上げる。)
ハーヴィ : ≪おとうさんは、マリヤがどうなるか、どうしてるかわからなかったから。≫ ≪内側からしか伝えられなかった≫
ハーヴィ : ≪……の、かな。≫ (尻すぼみな文字と共に、ワイヤーで出来た多面体を解くだろう。)
マリヤ : (解けていく線を見て)……(怖い)(バベルを去った後)(残るものがいるかもしれないこと)(離れて、何もわからないまま、いつの間にか友達が消えてるかもしれないこと)
マリヤ : (どうなってしまうか、わからないものは)(怖い)
マリヤ : (小さく、息を吐く。)(自分は今元気で此処に居るけれど)(受け入れてくれる皆が居るけど)(もしそうでなかったのなら)
ハーヴィ : (端末は再び沈黙し。人形の考察、演算、その先はふたたび少女に委ねられるだろう。)
マリヤ : (コリンの言葉にも)(ハーヴィの言葉にも分かるものがある)
コリン : ……マリヤの親父も、考えて、でも、こわいから外に出れなくて……、
コリン : 自分の中からしか、見れなかったから。
コリン : ああいう手紙を書いた、ってこと、 ……なのかな。(さいごの言葉は、自信なさげに付け足した。)
マリヤ : ……(ただ静かに微笑んで見守るアンジェロを少しだけ見上げた後、視線を戻して)
マリヤ : あたし……(考える)
マリヤ : (言いたい)(聞きたい)(ふたつ)……(可能にするのは)
マリヤ : パパに あいたい
マリヤ : あたしが いいたいのも ……こわいってこと きくのも あってみなきゃ わかんない から
マリヤ : (外に出たい)(世界を見て)(……その先の、目標)
ハーヴィ : ≪……なら。≫
マリヤ : うん
ハーヴィ : (そこから先は、あなたがかつて外の世界を見たいと言った時と同じ。)
ハーヴィ : ≪マリヤがそうするって決めたなら、その後はオレたち<友達>の仕事だね。≫
マリヤ : (すべきことは分かっている)(そうして)(頼れる友達がいることも知っている)きっと たのむこと あるとおもう……
マリヤ : (線の外に出たから、出来ること)(傷ついて転んでも)(立ち上がるまで応援してくれる友がいる)
ハーヴィ : ≪もちろん。なんでも言ってよ。≫(事も無げに、そんな文字が浮かぶだろう。)
コリン : (会ってみたいと言うあなたの言葉に、その後は、と言葉を紡ぐ友人に、にっと笑って、)
コリン : おう!もちろん、手伝う! マリヤが文句言ってやるにしたって、何にしたって、まず会ってみたいって願うんなら、
コリン : いっぱい頼んでくれよな! おれも、マリヤのためにそうしたい!
マリヤ : んへへ…… うんっ たのむよ!(人間の友と、イミテイターの友)(決して違うものだけれど、どちらだって友達になれたことは違わない)
マリヤ : (話をしたい。世界の広さと怖さ、そして明るさ)
マリヤ : (子どもが明確に、外という線の中にいるその人に対して、目標を持ったこと。)アンジェロも ありがと ね よんで くれて……
ハーヴィ : (笑顔。──きっとまだ会えるはずだ。出来ることが、あるはずだ。それを後押しすることは。)
ハーヴィ : (砕けて散らばった願いのかけらを、託すこと。愛しい友人を助ける、それだけの善意と ──青年のちいさなエゴ。)
コリン : (無邪気に約束を、またひとつ。もしかしたら叶えられないかも、なんて考えない。)
コリン : (友達の願いはなるべく叶ったら、嬉しい。 その助力が出来たら、嬉しい。 そうして良い結末が迎えられたら、嬉しい。)(少年の原動力はそういうものだった。あなたに幸あれと願うのは、何も親- あんたたち -だけじゃないと、内心こっそり手紙に反論して。)
マリヤ : (微笑むアンジェロが手紙を畳み、綺麗に仕舞い直して子どもに渡す。)(その手紙をポシェットに仕舞って)
マリヤ : (この子どもの記憶に、親という存在は薄い)(だけれども、その全てが悪いことばかりじゃない)(イミテイターに育てられ、そうしてこの時が来て新たに出会った友達のおかげで、今ここにある)
マリヤ : (なんなら)……きょう あそこ みてみて よかった ありがと ね ふかふかも つれてこれたし ね!
ハーヴィ : ≪マリヤがよかったならよかった。ふかふか、後で綺麗にしておかないとね。≫
コリン : ん、だな。 ハーヴィにも友達増えたし、アンジェロがたまたまこの部屋で掃除してくれてたし、
コリン : 良かった!
マリヤ : ねー!
マリヤ : ふかふか きれいに なろうね……(皆で綺麗にしようと、むんになった)
コリン : がん、ばる……!
ふわふわ : (ふわふわもおうえんしてますよ そんな趣でもってき袋から取り出されたふわふわ。)
マリヤ : (ふわふわ でかでか ふかふか みんな綺麗に揃った状態にしたいものね)
コリン : (ふわふわにとっても、友達だったら、うれしいね。)
マリヤ : (うれしいね…)
コリン : でも今日のところは寝て、洗うのは明日にしようぜ。
ハーヴィ : (ふわーん)
マリヤ : それはそう (あくび)
コリン : 今からこのサイズ洗うのは、流石のおれでも大変……。
ハーヴィ : ≪そだね。今から洗ったら安眠妨害で怒られそ。≫
マリヤ : んぬへ わかる
コリン : たしかにそれもあるな……。
マリヤ : (アンジェロにちゃんと歯磨きしましょうねと言われ)はーい
マリヤ : へへ きょうは いろいろ だったけど また つぎ みまわり しよ(残りはもう少し。だけれども、出来るかもしれない可能性を話すのに悪いことはないはずだから)
コリン : おう、もちろん!
ハーヴィ : ン!
マリヤ : (アンジェロに連れられ、子どもは部屋に戻るだろ)よし! ふたりとも また あした ね!
マリヤ : おやすみ なさい!(ぶんぶんと手を振り)
コリン : また明日! マリヤもおやすみ。よく寝るんだぞー。
マリヤ : はーい
ハーヴィ : (にぱ!と笑顔を浮かべて。)≪おやすみ!≫
コリン : (握っていた手をようやく離して、立ち上がり)
コリン : おれたちも帰るか!201号室に!
ハーヴィ : ……。(少女の去ったほうをすこしぼんやりと眺めて。)
ハーヴィ : ≪……うん!≫
コリン : ……どうした?大丈夫か?
ハーヴィ : ≪なんでもない、そろそろ眠いなあって思っただけ。≫
ハーヴィ : (笑顔。)
ハーヴィ : ( ──この場の誰も、知らなくていいこと。少女が父親に会いたいと言ったこと。)
ハーヴィ : (それはきょうだいと会いたいと願っていた己の姿と重なって。)
ハーヴィ : (けれど、ロックの外れた資料庫、ラインシャッハ本国のいま。)
ハーヴィ : ( ──RB2049MAが、マリオネッタ型イミテイターの"最後たるを知った"事。)
ハーヴィ : (散らばった願いのかけらを少女に託す、人形のエゴ。)
ハーヴィ : (演劇用の、さいごの演技。)
ハーヴィ : ≪さ、帰ろ!≫
コリン : もうこの時間だもんなぁ。("なんでもない"に、もっともらしい嘘に、少年はいともたやすく騙される。)
コリン : (演技に、自然体を返して。)(あなたの最期はまだまだ遠いと信じている。)(友達の願いはなるべく叶ったら、嬉しい。と望んでいる。)
コリン : (それが残酷なことだなんて知らないまま、少年は歩き出した。)(あなたの願いのかけらが寄り集まって、綺麗にはまって、いつか天に輝きますように。)
コリン : シュガーも待ってるもんな!
コリン : ただいまー……(シュガーが眠っているので、小声だ)
ハーヴィ : (ジャケットを脱いでハンガーにかければ、眠る少女の傍に行ってにこりと笑う。)
コリン : (後ろからどん、とあなたにぶつかり、そのままべっどにごろん)
ハーヴィ : ン、(うれしそうに小さな声を上げ。)
コリン : (はぐ、そしてぎゅう)
コリン : へへっ、おやすみ、ハーヴィ。シュガー。
ハーヴィ : ~~~(すぐにでもぎゅっと返して)
ハーヴィ : (目を閉じる。)
コリン : (そうしていつも通り、三人でぎゅうぎゅうづめになって眠るのだ。)(ささやかな願いが今日も叶って、少年は嬉しそうに。)
ハーヴィ : ( ──あなたに、あなたたちに隠した残酷は。残酷なままでも、涙はもういらない。)
ハーヴィ : (白磁と鈍色のかいなが教えてくれたこと。きょうだいと過ごした、たった半年の思い出は永遠となって。)
ハーヴィ : (なくなったままで、ここにある。そのためにRB2049-MAは、ハーヴィになったのだから。)
ハーヴィ : (それに。)
ハーヴィ : (まだなくしていない鼓動が、ぬくもりが、ここにある。)
ハーヴィ : ( ──だから、悲しくても、寂しくない。)
ハーヴィ : (眠りの狭間。宝物が、永遠であるように。)
ハーヴィ : (その生き物は、願ったのだ。)