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LOGS

花の名


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ハーヴィ : (モ、モ…とタッパーに詰めた昨晩の残りをいただいている。お夜食イミテイター。)

マリヤ : (談話室の扉を開き…)!(見覚えのある姿)

ハーヴィ : (モ……)(モ?) (扉の開く音に気が付いた)


マリヤ : (かつての彼の名をちょっとだけ言いかけてすぐに言い直す。)(「ハーヴィ」)

ハーヴィ : ン!(振り返れば、己の名を呼んだ少女へ手を振り)

マリヤ : (振り返し…)

マリヤ : (遠慮なく対面のソファにノス!)


マリヤ : (「ごはん」「たべてた?」)

ハーヴィ : (向かいに座ったのを見れば、嬉しそうに笑って見えやすい位置に端末を置く。) ≪うん、ちょっと外に行ってお腹すいたから、お夜食イミテイターしてた。≫

ハーヴィ : ≪マリヤは? 寝れなくなっちゃった?≫

マリヤ : (良いね…になりつつ)(「さっき」「EA53」「と」)(「おはなし」「してた」)

マリヤ : (「まだ」…)(「ねむくない」)(フスフス)

ハーヴィ : ≪そっか、お出かけがえり、オレと一緒だね!≫ (遅い時間に子供が出歩いている事にへの言及はなく ──というより、そういう発想が元よりないのだが。≫

ハーヴィ : ≪あ、マリヤもよかったら食べてね。≫ (テーブルの真ん中にタッパーを移動させた)

マリヤ : (夜更かしのものたちであった――)

マリヤ : (わーいになった)(「ありがと」)


ハーヴィ : ≪うん!≫ ≪一緒に食べる方がおいしいから!≫ (にぱ!と笑顔で答えた。2049を名乗っていた時には見せたことのない表情。)

マリヤ : (子どもの表情はあいも変わらず)(でも、一緒に食べるものが)(こうして一緒に笑うと)(うれしい)

マリヤ : (「ね」)(ホコホコになった…)

マリヤ : (「ふわふわ」「は?」)

ハーヴィ : ン! (元気にお返事)

ハーヴィ : ≪ふわふわもいるよ! 一緒に食べよっか!≫

マリヤ : (わーい)(二回目)

マリヤ : (お皿取り出し…)

マリヤ : (ふわふわ用に置く)

ハーヴィ : (てん、とテーブルの上に置かれたふわふわ。用意してもらったお皿の前に。)

マリヤ : (ふわふわの分を盛)(ホワホワの空間であった)

ハーヴィ : (なんとなくうれしそうに見えなくもない)

マリヤ : (ホコ…)


ハーヴィ : ≪ふわふわがありがとうって。≫ (おててを動かしてごあいさつ)

マリヤ : (「どう」「いたしまし」「て」)(ふわふわのお手々をちょっとにぎ…)

ハーヴィ : (ふんわりてざわり)

マリヤ : (ふーわふわ)

ハーヴィ : ≪今日も好きなだけだっこしていいからね。ふわふわも喜ぶよ。≫

マリヤ : (わーい)(三回目)(ホコホコMAX)


マリヤ : (「そう」「いえば」)

ハーヴィ : (にぱ~ とほこほこを眺めて) ン?

マリヤ : (「ハーヴィ」「そと」「でてた」「の?」)

ハーヴィ : ≪うん、散歩とちょっとお仕事。≫ (そういうイミテイターは、少し砂埃で汚れ、小さな擦り傷のようなものがあなたから見えるかもしれない)

マリヤ : ……(色々聞こうと思ったが)(ヌーン)(怪我…の手)

ハーヴィ : ン、(気付いて)≪平気だよ。そんなに痛くないしすぐ直せる。≫

マリヤ : (「ほんと?」)(「でもおだいじに」「ね」)(おだいじイミテイター…)

ハーヴィ : ≪ホント。 けど心配してくれてありがと!≫

ハーヴィ : (やはり屈託なく笑う。嘘はなさそうだ)

マリヤ : (おげんきイミテイター)(ヨシ!)


マリヤ : (大丈夫そうなのを見れば)……(えっとね、と)(「EA53」「とも」「ちょっと」)(「その」「おはなし」「した」)

マリヤ : (外。荒野の話。)

ハーヴィ : ? ……ン。(一瞬何のことかと思ったが、すぐに理解し。)

ハーヴィ : ≪どんなお話したの?≫

マリヤ : (幼い子どもは順序立てて話すのが苦手だ)(ひとつひとつ、まとめるのではなく順番に。)

マリヤ : (「あの」「ね」)(「まえ」「そと」「みてみた」…「こわかった」「って」「こと」「と」)(「EA53」「は」「そと」「でたことない」「けど」)(「でる」「って」)

ハーヴィ : (こくり。端末に相槌を洗わず文字は映らないが、その持ち主は少女の目を見て、ひとつひとつ。)

マリヤ : ……(「EA53」「は」)(「うごいてる」「かぎり」「おそうじ」「したい」「って」)

ハーヴィ : ……ン。

マリヤ : (しばしの間)……

ハーヴィ : (そのEA53。あの小さなイミテイター。その言葉に少女が何を感じ取ったのか。聞くべきか、端末が一度入力待機状態になり)

マリヤ : (「ハーヴィ」「は」)

マリヤ : (「そと」「こわく」「ない?」)

マリヤ : (出たことはないし危険もある。それでも出る、と言ったEA53)(そして今。外に出ていたのだと言ったあなた。)

ハーヴィ : (──入力待機を解除、入力待機、入力中──)


ハーヴィ : ≪オレは、ずっと外に行くのをお仕事にしてたの。≫ ≪そうしないほうが怖かったから。≫

マリヤ : ……

ハーヴィ : (子供に伝わるかどうかは重要ではない、大事なのは本当の事を伝えることだ。)

ハーヴィ : ≪EA53の「外に出る」って、≫ ≪オレみたいに、外で仕事をして、また帰ってくる、って事じゃない≫ ≪よね?≫

マリヤ : ……、……(きっと、そうだろう。子どもが実際、それを疑問に思いながら話していたのだから)(それをEA53は聞かれる前に、そうするのだと答えたのだから)

マリヤ : (頷く。)


ハーヴィ : ≪うん。じゃあ、オレもそっちの「外に出る」が怖くないか、答えるね。≫

ハーヴィ : ……(一拍、間を置いて)

ハーヴィ : ≪怖いよ。≫ ≪すごく。≫

マリヤ : ……(瞬き。)

マリヤ : (「そと」)(外。今は荒野を指すもの。そこにある景色を、きっと子ども以上に)(「しってる」「のに?」)

マリヤ : (そしていつかその時が来て。荒野を超えて、”外の世界”に出る時。あなたが怖いと言ったことがまだ繋がらないのか)

ハーヴィ : ≪知っていても、≫ ≪帰ってくる場所があるのと≫ ≪もう帰ってこないのでは≫ ≪違う。≫

マリヤ : …………


ハーヴィ : (大事なのは、伝わるかどうかではない。)

ハーヴィ : (伝えるかどうか。)

ハーヴィ : ≪オレは外を知ってるけど、外のみんなはオレを知らない。≫ ≪オレが外でお元気イミテイターでいられるかもわからない。≫

ハーヴィ : ≪それはとっても怖い。オレの知らない事だから。≫

マリヤ : ……、(「でた」「あと」)(「バベルの」「みんな」「が」)(「どうなるか」)

マリヤ : (「わからない」「のも」)

マリヤ : ……「こわい」?

マリヤ : (質問)(の形をした)(子どもの心)


ハーヴィ : ≪”とっても”。≫

ハーヴィ : ≪でも、それよりこわい事がある。≫

ハーヴィ : (すこしばかり、上を向き。 ──ああ、今、向かい合っている。少女の姿をした、隠し続けた自分の心と。)

マリヤ : (変わらぬ黒い瞳があなたを見つめている。)

マリヤ : (奥底の光を沈めたまま。)


ハーヴィ : ≪みんながいなくなってしまわないか≫ ≪壊れてしまわないか≫ ≪また会えるかどうか≫

ハーヴィ : ≪それを怖いと思う事が二度と出来なくなってしまうことが、オレは一番怖い。≫

マリヤ : …………、

ハーヴィ : (それは、街と共に失われるさまざまなもの。命、思い出、心。)

ハーヴィ : ≪その”怖い”と比べたら、ほかの怖いのほうがずっといい。オレは。≫

マリヤ : (二度と出来なくなる、こと。)(瞬いて。映された言葉を頭で繰り返す)


ハーヴィ : (伝えることを選んでおきながら、ふとイミテイターの演算は不安を出力する。小さな子供を相手にこんな事を言っていいのか、と。)

ハーヴィ : (それでも、あなたの夜色の瞳を、見つめている。)

マリヤ : (この子どもは幼くて)(まだ知るべきではないとされたことが)(いくつもあって)(それでも、全ては覆い隠せないことを、きっとみんな知っている)(知るべきことを皆がひとつひとつ、選んで。渡されてきた)

マリヤ : (そのひとつひとつが、全て大事なものであること)(きっともう、知ってる)(あなたの言葉も、また。)


マリヤ : ……「そと」「いっかい」「だけ」

マリヤ : 「みたこと」「あったの」「まえに」

ハーヴィ : ……ン。(恐らく、荒野のことだ。いかにジレイのような人間に忠実なイミテイターであっても、むしろ彼のような実直な者だからこそ、その先へ連れ出すことはしないだろう。)

マリヤ : (あなたの推測通り、荒野のことだ)「みんな」「で」 「それで」

マリヤ : 「なおせない」「イミテイター」「も」

マリヤ : 「いる」「って」「しった」

マリヤ : 「いつか」「みんな」 「なおせなく」「なる」「って」「ことも」


ハーヴィ : ≪そうだね。≫ ≪あの子たちはみんなもう、元には直せない≫

ハーヴィ : (ポケットを漁り、広げた食事を少し避けるとテーブルの上に機工部品:一般をいくつか置いた。”外での仕事”、その成果物、あなたが知ったこの世界にあるほんとうのひとかけら。)

マリヤ : ……(出てきた部品のひとつひとつを見る。)(倉庫で見つけるものとよく似ている。けれど)

マリヤ : (きっと違うもの。)

ハーヴィ : (弄ぶ人形の指先は、物言わぬ先人たちを労わるように。)


マリヤ : ……、「バベル」「も」

マリヤ : 「なくなる」「って」「こと」

ハーヴィ : (頷く。)

マリヤ : 「みんな」「と」「ずっと」「ここで」 「ずっと」「いっしょが」「いい」 「でたくない」 「こわい」(揺れる物音。無表情、だけれど、ぎゅっとどこか強く閉じられた瞼。)

マリヤ : 「でも」

ハーヴィ : ([2049]が聞いた、少女にまつわる情報。ポルターガイスト/サイキック/その他根も葉もない噂話。 ──青年はただ、あなただけを見ている。)


マリヤ : 「でたら」「みたいもの」「ある」「って」(あるイミテイター。) 「こわれるのは」「わるいこと」「じゃ」「なくて」(あるイミテイター。)

マリヤ : ……、(子どもは)

ハーヴィ : (なにかを考えようとしている。何かの答えを見付けようとしている。)(それは、子供も大人も、イミテイターも人間も関係なく、あなたにしかできない事だから。)

ハーヴィ : (青年の端末は、暗いまま。)


マリヤ : 「そと」「に」

マリヤ : 「でて」「みたい」

マリヤ : 「もういっかい」「ちゃんと」「みたい」

マリヤ : (答えだ。)

マリヤ : (子どもは、幼く、無力で)(違う)(あるのだと、言われた。今揺れる音が、その証拠で)

マリヤ : (ただ、まだそれを出し切るには勇気が足らず)(されど)(また一つ、選ばれ渡された言葉が)(今その答えを出した)


ハーヴィ : ≪──なら、≫

マリヤ : (瞼が開く。言葉をとらえる。)

ハーヴィ : ≪その手伝いをするのが、オレ<イミテイター>の、≫

ハーヴィ : ≪ううん、オレ<ともだち>の仕事だね!≫

ハーヴィ : ≪行こう、オレとじゃなくてもいい。けど、見付けに。≫


マリヤ : ……、(頷いた)「うん」 (大きく進めたわけじゃない。幼く小さな足では。)(されど)

マリヤ : (一歩。踏み出す音)

ハーヴィ : (青年の姿をしたイミテイター、しかしその演算はまだ未熟で。だからあなたの答えにも、「危ない」も「できない」も思わ<演算し>ない。)

ハーヴィ : (ただ、伸ばされた手を取るだけ。)


マリヤ : (蹲っていたものが、ようやく立ち上がった証拠。)「つぎ」

マリヤ : 「そとに」「でる」「とき」

マリヤ : 「いっしょに」「でて」「くれる?」

マリヤ : (手に縋るのではなく。頼り切るのではなく)(立ち上がれるはずだと伸ばされた手は、確かに)

ハーヴィ : ≪もちろん! 一緒に行こう。ふわふわと一緒に!≫

ハーヴィ : (あなたに手を振ったぬいぐるみ、動かす人形の指。)

マリヤ : ……「うん」(強く強く、頷いた。)

マリヤ : (ふわふわの手と、その指を。握る。)(確かに、握られ立ち上がった。)

ハーヴィ : (小さな手を握り返す指。人形にしては柔らかく、熱を持ったそれが、確かにそこにある。)


マリヤ : (世界を恐れて閉じこもり続けて、そうしていつか怖いを忘れて、消えてしまうこと。)(それは確かに安泰かもしれない)

マリヤ : (でも、)(永遠じゃない。永遠に微睡み続けることは出来ない。)(永遠じゃないからこそ、渡されてきた言葉)

マリヤ : (それを捨ててしまうことが正しいとは)(思わない)


ハーヴィ : (── 在りし日の記憶。恐らくは、イミテイターたちがOSと呼ぶその機構に蓄積されたもののひとつ。)

ハーヴィ : (『やっと終わる』と思っていた。バベルと共に、抱えた恐怖も灰になる。ようやく。それだけが希望で、けれど心は晴れなくて。)

ハーヴィ : (街のみんなと、あなたと出会って、その演算は感情になって名前が付いた。『生きていたい』。)

ハーヴィ : (渡してもらえたから、今度は自分が渡す番。見ていて、あなたの一歩は、きっとその恐怖を乗り越えられる。)


ハーヴィ : (── こんな風に。)


ハーヴィ : (テーブルに手をついて、そのまま飛び越えてあなたの隣へ。音もなく、ふわりと浮いた身体。ソファに着地。)

ハーヴィ : ン! ≪外に行くの、楽しみにしてるね!≫ (ちいさなあなたの頭へ、手をやった。)

マリヤ : (飛び越えたあなたを、黒い瞳はたしかに映して)

マリヤ : (そうして、置かれた手の暖かさ)「うん」「やくそく」「ね」

マリヤ : (乗り越えたその時。果たせるよう)

ハーヴィ : (やはりこの青年は、屈託なく笑うのだ。)

ハーヴィ : (信じているから。)

マリヤ : (黒い瞳の映してきた光は)(きっともうすぐ)……(テーブルの上のふわふわもこちらに寄せて、抱っこした)

ハーヴィ : (あなたの腕の中へ招かれたそれは柔らかく、温度はなくても、あたたかく。)

マリヤ : (優しく抱きしめて。)(「ありがと」)

ハーヴィ : ≪ううん、ふわふわもオレもマリヤと一緒がうれしい。≫


マリヤ : 「じゃあ」

マリヤ : (言葉)

マリヤ : 「あたし」「も」「ともだち」「と」 「いっしょ」「で」「うれしい」

ハーヴィ : ……!!!(友達、の言葉にぱっと花の咲いたような笑顔)

ハーヴィ : ≪うん! うん! オレも嬉しい! マリヤの事大好き!!≫

ハーヴィ : (あなたの記憶の中にあるであろう、2049というイミテイターは。心を隠して、抑え付けて。必死に寂しさを堪えて思考演算を成長させることのできなかったイミテイター。)

ハーヴィ : (だから嬉しいは嬉しくて、一緒が大好きだ。)

マリヤ : (頷く。)「あたし」「も」「ふたりの」「こと」「だいすき」

ハーヴィ : ~~~!!!(許されるなら、あなたを抱きしめるだろう。人形の、けれど熱と鼓動を持ったそれが。)


マリヤ : (どんな演算を出されても、イミテイターを愛してきた。子どもはそういうものだった)(当たり前にその世界で生きてきて、そうなって”しまった”とも言えた。)

マリヤ : (人間との区別ができないくせ、都合よく永遠を信じてた)(だからこそ、イミテイターもまた永遠ではないと、この世界が壊れるのだと知って)(怖かった)

マリヤ : (でもそれを知った)(知ったから)(きっと、今は)(ここにいて知った全部のイミテイターを愛してると言える。永遠の愛がなくたって)

マリヤ : (鼓動と共に頭に浮かぶ大好きの言葉は、本当だから)(そうして、ふわふわとハーヴィ、あなたたちをまるごと子どももまた抱きしめ返した)


ハーヴィ : (それはまだ小さくて、けれど不思議と大きく感じる腕の感触、少女のこころ。)

ハーヴィ : (永遠がなくても、一緒にいたことと、一緒に見たものは、永遠にできるから。)

ハーヴィ : (夜の空に咲いた、あの大きな花と同じように。)


ハーヴィ : (こてん、重くない程度に頭をあなたに寄せて。)≪マリヤぽかぽかだねえ。眠くなってきちゃった。≫

マリヤ : (ホカホカ子ども)(ふわふわもおそらくきっと温まってきてる…)

マリヤ : (暖かさに子どももやがてあくびを出し)

ハーヴィ : ン。≪そろそろ寝ようか。≫

マリヤ : (頷く…)

ハーヴィ : ≪今日はどこで寝る? 連れてくよ。≫

マリヤ : (「いま」「テラが」「かしてくれてる」「とこ」…)(お嬢様の部屋。お願いしつつ)

ハーヴィ : ン。(くっついたまま、抱え上げて。)



アロマポットから、微かなマナの香りがする……。

マリヤ : (あ)

マリヤ : (そういえば…)(ここにもぬいがいる)(「ふわふわ」「の」「ともだち」)

ハーヴィ : (ふわ~)(ふたりに挟まれたふわふわが仲間と対峙)

マリヤ : (ちなみにデッカクマちゃん。全長80cm)

ふわふわ : (おおきい しかし ふわふわにはふわふわがあります)(などと思う事はない。ぬいだから。)

ハーヴィ : ≪おっきくてかわいい!≫

マリヤ : (ふわふわ)(でっかい)(どちらもちがって)(どちらも良いね…頷く)

ふわふわ : (うわきもの…)(と、思う事もない。ぬいだから。)

マリヤ : (ふわふわをコショコショ)

ふわふわ : (ああ~)

マリヤ : (「こんど」「テラに」)(一緒に遊べるか聞いてみるねと)

マリヤ : (おおきいぬいさんと話した…)

ハーヴィ : ≪嬉しい! ありがと!≫


マリヤ : (ホコホコになりつつ、降ろしてもらってベッドへ…)

ハーヴィ : ≪それじゃあおやすみ。一人で大丈夫?≫

マリヤ : (ちょっと考え…)

マリヤ : (「いっしょ」「が」「いいかも」)(テラも多分…許してくれるはず!)(今日は友達と一緒に寝てみたいと思ったのだ。子ども…)

マリヤ : (とはいえ勿論ダメならダメでもいい。従ってほしくて言ってるわけでもないのは、きっと分かるだろうから)

ハーヴィ : ≪もちろん!≫ (その言葉には、二つ返事で。)

マリヤ : (わーい)

マリヤ : (本日n回目)


ハーヴィ : (毎日共に過ごしている人々がいないわけではないけれど。小さなあなたが一緒にいたいと言って、それを怒るような人々でもないとわかるから。)

ハーヴィ : (むしろ、きっととても喜んでくれるだろうから。)

マリヤ : (そんなわけでベッドには子どもとイミテイターと🐻と🐻)

ハーヴィ : (するりとベッドの中へ。くまちゃんたちも仲良くね!)

マリヤ : (フカフカ!仲良くね)(「おやすみ」「ね」)

ハーヴィ : ≪うん、おやすみ!≫ (最後にそう表示させれば、枕元に端末を置き。)

ハーヴィ : (もう一度、少女の頭を撫ぜる。)

マリヤ : (撫でられれば、子どもはすぐにうとうとと瞼を閉じる。)


ハーヴィ : (声のない声、ハミング。童謡を口ずさみ。)

マリヤ : (あたたかくて優しい夢の中。朝になれば醒めるけど)(それでもきっと忘れない)

マリヤ : (そうして穏やかな寝息。)


ハーヴィ : (──おやすみなさい。目を覚ましたあなたの瞳に、きっとたくさんの光が映りますように。)




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