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LOGS

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更新日:2024年2月13日


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ジレイ : む!!!!!!!!

ジレイ : (平然と隣に座った)

ハーヴィ : (はっとした表情で顔を上げ、シームレスに隣に座られたのに視線を移した。何かの資料を書き写している最中だったようだが、足を組んでラフな姿勢だったまま。ちょっと固まっている)

ハーヴィ : (ぺこ…と、控えめにお辞儀。組んでいた脚を戻し……) ≪こんばんは、えと、≫

ジレイ : 俺の名は名乗ったはずだが 言ってみろ

ジレイ : (こんな調子だが、怒っているわけではない。むしろご機嫌よりである)


ハーヴィ : ≪いや、あの。名前が分からないのではなく。 ……RW201。≫ (彼の愛称は知っているものの、直接聞いたわけではないからと。)

ジレイ : よい

ハーヴィ : ……(と、視線を逸らし。……なんとなく気まずいというか、気恥ずかしそうに。顔を正面に向けたまま視線だけであなたを見る。)

ハーヴィ : (その様子は、いつもの無機質なイミテイターのものとは少し違って見えるかもしれない。)


ジレイ : ?

ジレイ : (こいつはおそらく……)

ジレイ : (俺のことが好きなのだろう)

ハーヴィ : (「こわい・・・」)


ハーヴィ : ≪あの、≫

ハーヴィ : ≪ジレイ、と呼ばれているのを聞いて。≫

ハーヴィ : (視線と端末だけを向け。そわそわしている…。)

ジレイ : …… なんだ 貴様

ハーヴィ : (びくっ)

ジレイ : 呼びたいのか? 俺を ジレイと

ハーヴィ : …… ……

ハーヴィ : ≪……嫌じゃない?≫

ハーヴィ : (質問、という形で、肯定。)

ジレイ : 何故


ハーヴィ : ≪何故…… って、言われると……≫

ハーヴィ : ≪えと……。≫ ≪いつも、仕事の話しかしてないから、≫

ハーヴィ : ≪突然は、嫌かなって……≫ ≪思った……。≫

ハーヴィ : (一区切りずつ、ぽつぽつと文字が表示される。)


ジレイ : ……

ジレイ : 構わん

ハーヴィ : !!

ジレイ : というか 何故

ハーヴィ : ≪何故、え、あの、≫

ジレイ : 何を恐れることがある

ハーヴィ : …… ≪オレ、いつも愛想悪かったし……。≫ ≪あと……。≫

ハーヴィ : ≪…… 本国のイミテイターだって聞いて、壊されるんじゃないかって、勝手に思って、≫

ハーヴィ : ≪避けてたから……。今更どうしよう、って……。≫

ジレイ : 壊す?

ハーヴィ : (肩を落とす。小さく頷いた。)


ハーヴィ : ≪その、ゼータたちが、ジレイは怖くないって言ってくれて。だから頑張って話したいなって、思ったんだけど、≫

ハーヴィ : ≪オレがいらないって判断されたら、壊される、って……。≫

ハーヴィ : (それは、このイミテイターの出自ゆえの思考ではあるのだが、まだそこまでの説明には至らず。)

ジレイ : 貴様は何か

ジレイ : 何かに損失を与えたのか?

ハーヴィ : (慌てたように大きく首を横に、なんども振る。)≪してない! 絶対してない!≫

ハーヴィ : ≪するわけない……。≫

ハーヴィ : ≪したら、意味ない……。≫

ジレイ : では壊す理由はない


ジレイ : 貴様はなんというか

ジレイ : 想像よりも饒舌だ

ハーヴィ : …… ≪そう、かな。そうかも……。 隠してたんだ ずっと。≫

ハーヴィ : ≪……聞いても壊さないよね? オレ本当に悪い事はしてない。≫

ハーヴィ : (壊さない、という言葉に安心したのか、身体をあなたのほうへ向け直し)

ジレイ : ものを壊すのも大変だ

ジレイ : ……今も 俺のことが怖いか?

ハーヴィ : ≪……ちょっとだけ。でもゼータもシャノアも大丈夫って言ってくれた。……だから、大丈夫。≫

ハーヴィ : ≪ずっと怖いって言ってたら、いつまでもジレイと仲良くなれないし……。≫


ジレイ : ……

ジレイ : 俺は怖いぞ 怖くなければならない そういう役割のイミテイター

ジレイ : 仲良くなる必要も 本来はない 俺達は組織と仕事の関係のみによって結ばれる そうあるべき

ジレイ : だが

ハーヴィ : (その言葉に、すこしばかり身体を縮こまらせ)

ジレイ : 俺は…… その

ジレイ : 俺が怖いと きっと ここの人間様は困ってしまう

ジレイ : ので もう少しこう 柔らかくなりたい

ジレイ : 柔らかイミテイター

ハーヴィ : ……(ちいさく、無言の中に吐息の音が混ざる)

ハーヴィ : ≪やわらか……≫


ハーヴィ : ≪……ゼータとかは、ほかのみんなは普通に話してるって言ってる。≫

ハーヴィ : ≪それは、人間だから?≫ ≪オレも、やわらかイミテイターのジレイと話してもいい?≫

ジレイ : 無論

ハーヴィ : ……!! (ぱ、と表情が明るくなった。)

ジレイ : …… ええと 貴様 貴様に愛称は有るのか 機体名と愛称 どちらで呼ぶべき


ハーヴィ : ≪ごめん、正式な機体名はまだ名乗ってなかった。≫

ハーヴィ : ≪RB2049-MA 、”Gray” Havey。≫

ハーヴィ : ≪オレの”名前”は、ハーヴィ。だからハーヴィって呼んでくれたら嬉しいな。2049じゃなくて。≫

ジレイ : わかった それにより 不都合が生じないのであれば そう呼ぶ

ハーヴィ : (こく!こく! 嬉しそうに頷くだろう。)


ジレイ : ハーヴィ ……

ジレイ : (俺はThunderBirdに対しても テラと呼んでやるべきなのか?)

ジレイ : (まあいい)

ハーヴィ : (にぱ!)≪やっぱり名前で呼んで貰えると嬉しいね!≫


ジレイ : ……

ジレイ : 悪いが 俺は子供に接するのが得意でない

ジレイ : だから あまりこう 無邪気なところを見せられると

ジレイ : …… 困る…… (ふい、と視線を逸らす)

ハーヴィ : ? ≪子供……。≫

ハーヴィ : ……。 ≪……。≫


ハーヴィ : ≪それは、オレは確かにまだ11年しか稼働してないけど、≫ ≪一応青年モデルだし。≫

ハーヴィ : ≪子供はひどくない……?≫

ハーヴィ : (ムス…)

ジレイ : いや どうみても

ジレイ : どうみても

ジレイ : …… いや すまない


ハーヴィ : ≪え!?≫ ≪え!?≫ ≪え!?≫ ≪オレ少年モデルだったの!?≫

ハーヴィ : (愕然とした様子で自分の頬をつねった。)≪痛い!≫

ジレイ : 訂正する

ジレイ : 貴様の外見情報は確かに青年だ 成熟した振舞いも可能である

ジレイ : だが

ジレイ : 中身は幼い

ハーヴィ : ……。

ジレイ : だが それはべつに 悪いことではない…… とされる

ハーヴィ : ン…… ≪ほんと? オレ、多分その成熟した振る舞い、の。 ……前の『2049』なら、演技できるけど。出来たらもうしたくなくて……≫

ハーヴィ : (気が付かなかった。己の内面の未成熟さに。コリンやゼータといった人間の少年たちがなぜ子供らしさを指摘されるとそれを否定したがるのか、すこしだけ理解ができた。)


ジレイ : そうか

ジレイ : では俺の前ではしなくてよい

ハーヴィ : ……!

ジレイ : 幼さは 無知だ

ジレイ : 無知は 必ずしも悪いことではない

ジレイ : 世の中には知らなくてよいこともある

ジレイ : 無知ゆえに 自らのパフォーマンスを最大限に発揮できるときもある

ジレイ : 恐怖はその代表だ

ハーヴィ : ≪悪い事では、ない……。≫


ハーヴィ : ≪……でもオレ、怖かったよ、ずっと。それはどうして? 無知だったら、怖くないんじゃないの?≫

ハーヴィ : ≪みんなと違うのが、ひとりぼっちがあんなに怖くて、オレはそれが、自分がなにも分からないからだって、思って、≫

ジレイ : (ふと立ち上がり)

ハーヴィ : ?(見上げる形になるだろう。)

ジレイ : (一枚の新聞を持ってきた 12年前 人間の遺体を使用した生体イミテイター──それに慄く婦人に対する取材が書かれた記事)

ハーヴィ : ……(無遠慮に、あなたの言葉を借りるならば『幼い』仕草で、覗き込み。)


ジレイ : (「ええ、ええ。信じられません! 人間の遺体でイミテイターを製造するだなんて……。あなたは人の皮の本を受け入れられますか?」 という行が見えた)

ハーヴィ : ……。≪これ、前に読んだことある。ここで。≫

ジレイ : なら都合がいい 貴様はアンジェロと話したことはあるかな

ハーヴィ : (首を横に振る。)

ハーヴィ : ≪オレは この街の人たちとは あまり関わらないできたから≫


ジレイ : そうか 奴こそが この記事に書かれているような生体イミテイターのうちの一機だ

ハーヴィ : ……。(吐く息に、人間を模した空気の出入りにすこしの震えが混ざる。驚き、あるいは動揺。)

ジレイ : 俺は やつをべつに 怖いとは思わない 人間様のからだを使用した 冒涜的な存在とも思わない

ジレイ : それは アンジェロが 人間様を介護し 心に安寧をもたらすためにつくられたイミテイターだと 知っているからだ

ハーヴィ : ……。


ハーヴィ : ≪オレは、≫ ≪この記事を見た時、こわいって思った。≫ ≪自分がそれじゃなくて、よかったって。≫

ハーヴィ : ≪でも≫ ≪アンジェロのことをしってたら そんなふうには いえなかった≫

ハーヴィ : (自白にも近い吐露。思ったことを正しく答えることが、あなたへの向き合い方だと、未熟な思考は結論を出した。)

ジレイ : (ジレイは怒らなかった)

ジレイ : そうか


ジレイ : 俺は思う 白黒つかぬ 半端な理解こそが ひとがたを陥れる

ジレイ : 勿体ない

ハーヴィ : ≪勿体ない……?≫

ハーヴィ : (”グレイ(どっちつかずの)” ハーヴィは、)

ハーヴィ : (──わからなかった。イミテイターと呼ぶには合理に欠き、 人と呼ぶには人間性の薄いその思考には、)

ハーヴィ : (それは、未だ遠い。)

ジレイ : ああ だったら 最初から ……

ジレイ : (ジレイは 模範的なイミテイターだ)

ジレイ : …… すまん なんでも


ハーヴィ : ≪『心なんて、いらなかった』?≫ ( 疑問 / 憶測 / 推察 = 心に土足で上がりこむ危険行為。 だが”嘘が下手な口”はそれを言う。)

ジレイ : ……

ハーヴィ : ≪……ジレイが考えてる事はわかんない。 他のイミテイターが何を考えてるか、オレにはわかんなくて、怖かったからオレは[2049]だったけど、≫

ハーヴィ : ≪もしそうだったら、それは違う、 ……違う、じゃないけど、≫

ハーヴィ : ≪悲しい……。≫

ハーヴィ : ≪その、見当違いだったら、ごめんね≫


ジレイ : (ぱた と新聞をとじた 思考モジュールを更新してより はじめての知見は恐怖だった)

ジレイ : 悲しい か

ジレイ : 心は 人間様の特権だ

ハーヴィ : ……

ジレイ : だが イミテイターは 人間様を真似るようにつくられた

ジレイ : それがアップデートである と定義するのなら 貴様は きっと優秀で 最もあたらしいイミテイター

ジレイ : きっと その先は 茨の道だと思う はじめての試みは みなそうだ

ハーヴィ : (しばしの沈黙。思考を映し出す文字盤もまた暗いまま。)


ハーヴィ : ≪優秀なイミテイター、って言われたら、きっとうれしい事なのに。≫

ハーヴィ : ≪オレは素直に喜べない。≫ ≪でも、ジレイがオレを見てくれたのは、嬉しい。≫

ジレイ : むう

ハーヴィ : ≪嬉しい、も人間の特権なら。オレはオレが思うこと、手放さないといけないのかな。人間の、他のだれかのものなのかな。≫


ハーヴィ : (ぐるぐる、ぐるぐる。“思考によくにた演算”を繰り返し、しかし当の本人にはそれが演算たる自覚もなく。 ゆえに演劇用、ゆえに、”グレイ(灰色)”のあざなを与えられた、イミテイター。)


ジレイ : それ以上は


ハーヴィ : ≪オレは、≫


ジレイ : (目をふせた 瞳孔があかく開いて)


ハーヴィ : ……、


ジレイ : それ以上は 俺の前で いわないでくれ


ハーヴィ : (顔を上げる。言ってはいけない事を言って、それが『言ってはいけないこと』だと理解した時の、子供の顔。)

ジレイ : 俺は 貴様と なかよしイミテイターでいたい

ハーヴィ : ……(こくり、ゆっくりと。頷いた。)

ジレイ : (立ち上がる)


ハーヴィ : ≪オレが、変なのは分かってて、≫≪だから、≫(立ち上がるあなたへ、縋るように光る文字盤)

ハーヴィ : ≪ごめんなさい。≫

ジレイ : 謝ることではない

ジレイ : ただ 向いている方向がちがうだけ

ハーヴィ : ……


ハーヴィ : ≪また≫

ハーヴィ : ≪お話、できる?≫ ≪なかよしイミテイターで≫

ジレイ : ああ

ジレイ : なんでもない話をしよう

ジレイ : おしゃべり

ハーヴィ : ≪…… いっぱい話したい事あるんだ。 ずっと我慢してたから。特別なことも、特別じゃない事も。≫

ハーヴィ : ≪だから、≫

ハーヴィ : ≪またね。≫

ジレイ : ふ

ジレイ : それは光栄なことだ

ジレイ : また


ハーヴィ : ≪オレ、ジレイのこと≫

ジレイ : (立ち止まる)

ハーヴィ : ≪……たぶん、かっこいいと思ってる。≫

ハーヴィ : (逃げるように、資料庫の奥へと)

ハーヴィ : (見えない角度で、体育座り。)

ジレイ : …………(あまり動かない視線は まるで 気になる子に別れの挨拶をいった子供のようなその背を追って)

ジレイ : (そうしてまた前をむいた)


ジレイ : (人と人は 必ずしも 分かりあえるものではない)


ハーヴィ : (「仲良く、なれたらいいな。」)


ジレイ : (すべての人に融和をもとめるのは きっと残酷だ)

ジレイ : (だけど)

ジレイ : (折り合いを探し 尊重し 可能な限り 寄り添いあう関係を そのように運用されてきたジレイは愛している)


ハーヴィ : (”わかりあえない”を、まだわからない『少年』は。)

ハーヴィ : (うずくまる。あなたの言葉が、茨の道にすこしだけ踏み入れたその【 】が、)

ハーヴィ : (じくじく痛い気がするけれど、それでもまだ、歩きたかった。)

ハーヴィ : (だってまだ、歩き始めたばかりだから。)




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